○『断熱』とは?
断熱とは、「熱貫流」量を少なくする事です。つまり、「外部の空気から壁・壁内部・壁から室内の空気」(又は、その逆)への熱の移動を少なくする事を『断熱』といいます。
では、どのようにすれば熱の移動を少なくする事が出来るのでしょうか。それには以下の方法があります。
1 壁体・窓に空気層(中空層)を設ける。
・ 空気層の断熱効果は、厚さ2〜3p程度までは比例して増加します。
・ 二重サッシ・複層ガラスは、熱損失を小さく出来ます。
2 室全体の気密性を高める。
・ 気密性を高める事により、建物の隙間からの熱の出入りを防ぎます。
3 断熱材を使用する。
・ 断熱材は吸水・吸湿すると断熱性能が低下します。
・中空層内にアルミ箔を使用すると、伝熱量を低減できます。
以上の3つを常に意識しつつ、住宅に対する『断熱』を考えなければなりません。
○何の為に断熱をするのか?
・冬場、暖房器具等で暖めた室内空気を外部に逃がさない様にする為。
・夏場、冷やした室内に、外部の熱気が入らない様にする為。
・少ないエネルギーで効率よく冷暖房できる様にする為。
・etc
例えば、断熱材を施していない住宅(断熱の効いていない住宅)だと、冬の寒い時期、室内で暖房を入れた時に、せっかく温めた暖気が壁・屋根等を伝わって外部へと逃げていきます。(熱は高温側から低温側へと移動する性質があります。)また、夏の暑い時期では、室内で冷房を入れていても、壁・屋根等を伝わって外部の熱が室内へ入ってきてしまいます。その為、とても熱効率が悪く、光熱費のかかる住宅になってしまいます。
逆に断熱材を施した住宅(断熱の効いている住宅)では、冬場での暖気の流出や夏場での外気(熱気)の流入を抑えるこが出来る為、断熱材を施していない住宅に比べると、熱効率が良く、光熱費等、ランニングコストを抑える事が出来ます。その様な理由から『快適で住みやすい、過ごしやすい住宅』には断熱材は不可欠といえるでしょう!
○断熱の工法
断熱材を使用する場合、大きく分けると『内断熱工法(充填断熱)』と『外断熱工法(外郭断熱)』とがあります。工法により、それぞれ長所・短所があります。
1 内断熱工法(充填断熱)とは。
・繊維系断熱材(グラスウール・ロックウール等)を構造躯体(柱・梁等)の間や内側に施す工法。
・コストが安い。
・断熱材の透湿抵抗が低く、吸水・吸湿しやすい。その為、断熱性能が低下するので壁体内に屋外からの湿気が流れ込まない様に完全な防湿処理が必要。また、住宅の大敵である『壁内結露』が発生しやすい。
・柱・筋かい・コンセント等の為、断熱材を連続的に施工する事が出来ず、非断熱部分が多くなる。
2 外断熱工法(外郭断熱)とは。
・プラスチック系断熱材(ウレタンフォーム等)を構造躯体(柱・梁等)の外側に施す工法。
・コストが高い
・断熱材の透湿抵抗が高い為、内断熱工法に比べて吸水・吸湿による断熱性能の低下の恐れが少ない。
・断熱材を躯体の外側に張る為、非断熱部分が少なく、また冬場の暖房時・夏場の冷房時にも住宅にとって一番の大敵である壁内結露を発生させない。

○断熱のライン
内断熱工法と外断熱工法の大きな違いの1つに『断熱のライン』が上げられます。

この『断熱のライン』の違いが住宅に及ぼす影響には以下の様なものがあります。
1 小屋裏の環境
まず、断熱材を天井の上に施工するのか、屋根面に施工するのかにより、小屋裏の環境が変わってきます。
●内断熱工法では、天井の上に断熱材を施工する為、小屋裏は屋外と同じ環境になってしまいます。夏場では、小屋裏の温度は40〜50℃位まで上昇しますので、2階の部屋では、どんなにエアコンを効かせていても40〜50℃に達している小屋裏の熱が輻射熱として天井から放射されますので、いつまでたっても涼しくなる事はありません。
また、その様な状況から、小屋裏部屋を設ける事も難しくなってきます。
●外断熱工法では、屋根面に断熱材を施工し、その断熱材の上側に通気層を設けて屋根の棟には棟換気を取り付け、通気層の空気を絶えず流動させる様にします。こうする事によって、真夏の直射日光の熱を屋根裏に伝える事のない構造が出来るのです。
小屋裏は室内と同じ環境になりますので、2階天井面(室内側)の表面温度も上がる事がなく、夏場でも快適な冷房環境を作り出す事が出来ます。また、小屋裏を部屋として利用する事も可能ですし、2階天井面を屋根面の下端まで上げる事で、広い空間を作り出す事も簡単に出来ます。吹抜を利用すれば1階床面〜2階屋根面までの、さらに大きな空間にする事も可能です。
2 床下の環境
●内断熱工法では、床下(フローリング裏)に断熱材を施工します(床下断熱)。その為、床下は屋外と同じ環境になりますので、風通しをよくする為に基礎に穴をあけ、換気口を設けなければなりません。しかし、十分な換気がとれていない時、床下は大変な事になってしまいます。
換気不十分により、まず結露の発生、それに伴うカビ、構造体に大変有害な腐朽菌の発生、シロアリ、吸湿・吸水による断熱性能の低下等、多くの問題が発生します。
また、床下に断熱材を施工するのは簡単な作業ではない為、支持方法が適切に行われていない場合、自重により断熱材が簡単に垂れ下がってしまい、断熱欠損になりやすくなってしまいますので、冬場の寒い時期はいくら暖房を効かせていても床下からの冷気の放射により、いつまでたっても足元は冷たく、非常に不愉快でストレスを感じる環境となってしまいます。
●外断熱工法では、基礎の外周部分を断熱層とします(基礎断熱)。床下は内断熱工法に比べると室内環境に近く、低湿で安定した状態となりますので、床下換気口の必要もありません。
また、断熱・気密施工上の信頼性が高いうえ、床下換気口が無い事により、床下断熱に比べ、屋外からの湿気・雨水の流入を抑える事が出来る為、床下での結露防止や床材・構造材の腐朽防止など優れた性能を安定して確保する事が出来ます。それにより内断熱工法に比べ、住宅の寿命は長くなる事がおわかり頂けると思います。
3 構造体の寿命・壁体内結露の有無
●内断熱工法では、断熱のラインが『床下ー壁体内ー天井』を結んだラインとなります。その為、断熱のラインの外側となる床下・小屋裏及び、外周部の構造体(土台・柱等)は屋外と同じ環境となるので、外部の温度、湿度の影響を直接受ける事となります。外周部の構造体が外気の影響を直接受けると言う事は大変大きな問題です。結露・それに伴うカビ・腐朽菌により、床下・土台等はとても腐りやすい危険な環境となり、住宅の寿命は大変短いものとなってしまいます。
●外断熱工法では、断熱のラインは『基礎ー壁の外側ー屋根』を結んだラインとなりますので、床下・壁の中・小屋裏は全て室内に取り込まれて、屋内とほぼ同じ環境になります。その為、内断熱工法に比べると、構造体に対する外気からの影響が少なく、結露・それに伴うカビ・腐朽菌の発生を防ぐ事が出来ますので、住宅としての寿命も長くなる事がおわかり頂けると思います。
※住宅の断熱性能の良し悪しは断熱材そのもの以上に断熱ラインが気密性を保持しつつ、外周を連続するか否かによって決まるのです。どんなに優れた断熱材を使ったとしても、隙間や断熱の途切れるところは断熱性能が『ゼロ』に近いわけですから、単に熱損失の問題だけではなく、結露の発生、それに伴う多くの問題をもたらす事になり、大変危険な事です。
綿上断熱材(グラスウール・ロックウール等)を使う内断熱の家造りは、最初からその事に無頓着であり、無責任であると思われます。
外断熱の何よりもよい点は断熱材そのものが水や湿気に強いので、内断熱工法のように防湿層を設ける必要が無く、床下・壁の中・屋根裏にも結露が発生するような温度差ができない事です。
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